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一人なのに「We」ってウソっぽい? フリーランスが揺れる“個人”か“会社”かのブランド戦争

一人なのに「We」ってウソっぽい? フリーランスが揺れる“個人”か“会社”かのブランド戦争

フリーランサーとして独立するとき、多くの人がぶつかる悩みの一つが「自分のブランディングをどうするか」だ。

「個人名で売るべきか、それとも会社として振る舞うべきか?」
「“I” (私)と表現すべきか、“We”(私たち)と表現して、あたかもチームや小さな会社であるかのように見せるべきか?」

これらは、一見単純な言葉遣いの問題にも思えるけれど、実際にはマーケティングや信頼構築、顧客との関わり方に大きく影響する。

今回取り上げるのは、海外のフリーランスコミュニティで交わされた生の議論だ。

フリーランスのブランディング:「I(私)」か「We(私たち)」か?
こんにちは!このグループ内で検索したけれど、関連するものが見当たらなかった。もし既出ならごめんなさい。

僕は今、フリーランスのビジネスを立ち上げようとしている。
主な分野はビジネス・インテリジェンス/戦略とモダンなワークプレイス(現代的な働き方環境)の領域で、フルリモートかつ多文化・多国籍の顧客を対象にするつもりだ。

経験としては25年以上、そのうち直近18年はテック業界のフォーチュン500のトップ5社の1つで、実務者(プラクティショナー)としてやってきた。これで状況理解の一助になればと思う。

質問:
プロのアドバイザー/コンサルタントとして自分を打ち出すべきなのか、それとも(依然として個人であるものの)コンサルティングファームとして活動を見せるべきなのか、みんなはどう考える?

投稿者は、25年以上のキャリアを持ち、そのうち18年をフォーチュン500トップ5のテック企業で過ごした精鋭。
ビジネス・インテリジェンスや戦略、モダンなワークプレイス構築を専門とし、国際的なクライアント相手にフルリモートでコンサルを行おうとしている。

そんな背景を持ちながらも、今は自分自身が「プロのコンサルタント」として名乗るか、それとも「コンサルティング企業」として打ち出すかで迷っているのだ。

目次

「I」か「We」かで揺れる心

投稿者は、そもそも嘘や詐欺ではなく、単にマーケティング上どちらが効果的かを知りたいだけだ。

  • 「I」と名乗れば、個人としての専門性が前面に出る。
    これは「個人が直接対応してくれる」という安心感を与えられるが、場合によっては「1人しかいないの?」と不安を持つクライアントもいるかもしれない。
    大きな案件を望む企業からすると、個人が相手だとスケール感に不安を感じる可能性もある。
  • 「We」と名乗れば、組織で対応するような印象を与え、一定のスケール感や信頼性を演出できる。
    一方で、「実は一人なのに会社を装うなんて、怪しくない?」という懸念も出てくる。
    特に、実績がまだ乏しい段階で「We」を使うと、見栄を張っているように受け取られがちだという意見もあった。

コメント欄に見る多種多様な声

このスレッドには、実際にフリーランスとして活動している人々が様々な立場からコメントを寄せている。その中からいくつかの考え方をまとめてみよう。

ある声は…

あなたが複数人格障害でない限り“基本的な文法に忠実になれ”、つまり‘I’を使うべきだ

という、極めてシンプルな主張だ。この人にとっては、正直さや素直さが大事なように見える。

別の人は…

会社はCEOや創業者そのものではなく、人々の集まりだ。だから‘We’と表現すべきだ。

この意見では、‘We’がチーム感や会社的な信頼感を醸し出せると考えている。
ただ、対する声があって、投稿者はまだフリーランサーであり創業者でもなければ社員もいない。
つまり、本当に“我々”と呼べるほどのチームが存在しないなら違和感がある、と疑問を投げかける人もいる。

また別の意見では…

最初は‘I’で始め、実績やポートフォリオ、クライアント数が増えて、外注やチーム編成の余地が出たら‘We’に移行すればいい

との戦略的アプローチを提案する人も。

自分はデザインスタジオを立ち上げ、最初は1人だったけれど、実績が積み上がるにつれてチームを増やし、自然と‘We’に移行した

と成功体験を語る声もあった。

さらに他の人は…

小規模なクライアントは、『会社』と聞くと高額な料金を想起して避ける可能性がある。初期の頃は‘I’で、個人としての接しやすさやコスト感を出す方が受け入れられやすい

という実務的なアドバイスをくれる人もいた。

また、違った視点で…

依頼者が大企業好きで、個人事業主より会社と取引したがる業界なら‘We’が有利かもしれない

とか、

個人ブランドを強みにするなら‘I’で、自分が主役であることを明確にした方が得策

という、状況や業界特性に応じた意見も多い。

「We」は詐欺?との懸念…

一人なのに“We”を使うと詐欺っぽい

と感じるクライアントも確かにいるようで、投稿者自身もそこを懸念している。
だが一方で

SaaS企業のように実質一人で運営していても“We”としか名乗らず、創業者の名前すら出さないケースもある

という反例も指摘され、必ずしも詐欺には見えない場合もあることが示唆されていた。

悩む投稿者の心理

投稿者は長年の経験を持ち、トップ企業での実務経験もある。つまりスキルは折り紙付きだ。
にもかかわらず、フリーランスとして自分をどうブランディングするかで悩むのは、「市場でどう受け取られるか」をシビアに考えている証拠だ。

  • 「I」で行くなら、個人としての専門性と人間味が強調される。
    その一方で「小規模」な印象を与え、大きな案件を取りこぼすリスクもあるかもしれない。
  • 「We」で行くなら、ある程度のスケール感とプロ感を演出できるが、「本当は一人なのに…」と自分に嘘をついているような気分になるかもしれないし、クライアントが不自然に思う可能性もある。

投稿者が気にしているのは、ただの言葉選びではなく、その言葉が顧客心理と取引に及ぼす影響だ。

自分の顔が見える個人コンサルタントとして信頼を得るのか、それとも将来の拡大を見据えて会社のようなブランドを先取りするのか。

これはキャリア戦略に深く関わる選択だ。

選択基準を考える

読者であるフリーランサーや独立志望のコンサルタントは、この議論から何を学べるだろうか。

  1. 自分の強みとUSP(独自の売り)を見極める
    もしあなた自身がブランドの核であり、その専門性こそが売りなら“I”で行くのは自然だ。
    顧客は「この人と仕事したい」と思って依頼するからだ。
  2. 顧客が何を求めているか考える
    あなたの業界やターゲット顧客によっては、「会社」としてのスケールや体制を求める場合がある。
    逆に、柔軟でリーズナブルな個人コンサルタントを望む顧客層なら、“I”で行った方が親しみやすいかもしれない。
  3. 将来の拡大余地を想定する
    今は一人でも、将来チームを組む可能性があるなら、あらかじめ“We”でブランドを作っておくと後でスムーズに拡大できる。
    でも、実績がまだ薄い段階で“We”を使うと見栄を疑われるかもしれない。
  4. 文化や地域性を意識する
    コメントにはなかったが、国や文化によって“個人”を好むか“会社”を好むかの傾向がある可能性も。
    投稿者も指摘しているように、「I”が自然な文化圏と“we”が受け入れられる文化圏があるかもしれない。

感情的・心理的な葛藤を噛みしめて

投稿者の苦悩は「ただの言葉の選択」以上のものだ。
ブランドイメージは、将来の顧客との関係性、その後のビジネス展開、果ては自分の働き方や価値観まで影響を及ぼす。

「I」を選べば、個人としての信用と責任がすべて自分にかかる。自分が顔であり、失敗も成功もダイレクトに返ってくる。

「We」を選べば、ブランドを会社のように築き、クライアントから少し距離を置くことができるかもしれないが、その代わり「本当に中身はあるのか?」と疑われるリスクがある。

この悩みは、フリーランスや個人事業主なら多かれ少なかれ経験するものだ。
どちらの選択にもメリットとデメリットがあり、「正解」は存在しない。

ただ、一つ言えるのは、どちらを選ぶにせよ「なぜそうするのか」を自分で明確にし、納得できるかが大事になる。

自分らしい答えを見つけるために

この議論が教えてくれるのは、他人の意見は多種多様であり、結局は自分が目指す方向性次第だということ。

「個人としての強み」を押し出し、信頼関係を構築したいなら“I”で行くのも自然だし、「将来はチーム運営も視野に入れていて、最初から会社的イメージで攻めたい」なら“We”という選択肢もある。

また、試してみてから変えることも可能だ。
最初は“I”で始めて、実績やクライアント数が増えたら“We”に変えるケースもあるし、その逆もあり得る。
いずれにせよ、あなたがフリーランスとして何を目指し、どんな印象を与えたいかが答えを導く鍵になる。
「他人がどう思うか」を参考にしながらも、最終的には自分自身が納得できるやり方を選ぶことが大切だ。

この一連のやり取りは、フリーランスとしてのブランディングが、単なる言葉の問題ではなく、事業戦略や顧客関係、信頼構築、そして自身のアイデンティティに深く関わることを示している。

結論は人それぞれ。「I」であろうが、「We」であろうが、あなたが胸を張れる形で、あなたの価値を最大限に伝えられるなら、それが正解に近い答えなのかもしれない。

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